Q.基金の活用はなぜ必要なのでしょうか?
政府からの補助が減少しているのは、公財政の逼迫により先進国共通の現象です。こうした状況のなかで、海外の有力な大学では基金を活用して、国際化のための施設設備や奨学金の充実を行っている場合が多いのです。アメリカでは、ハーバード大学の基金は約3.5兆円で、イェール、スタンフォード、テキサス、プリンストン、MITの各大学の基金も1兆円を超えています。東京大学の総資産は約1.3兆円ですから資産ではひけを取らないと言えるかもしれません。しかし、資産の内容には大きな差があります。アメリカの大学では、運用できる基金が多く、そこから収益をあげているのに対して、東京大学の資産はほとんど土地で基金はきわめて少ないのです。法人化前には基金はありませんでした。法人化後には、東京大学でも基金を創設しましたが、この基金を活用して、国際化などの施設整備や奨学金のためにあてることができる収益を生み出すことが求められています。
基金を増やすためには、基金の運用と並んで、寄附募集戦略が重要であることは言うまでもありません。アメリカの各大学ではそのためのスタッフも多いですし、理事会や学長の最大の役割の一つは寄附集めです。これに対して、東京大学の基金は、これからようやく130周年にむけて130億円を目標に始動したところです。
私の属する大学総合教育研究センターでは、「大学の財務基盤強化のための研究」プロジェクトを野村證券と実施していますが、アメリカの大学の実態をみますと、企業などからの大口の寄附ばかりでなく、同窓生の小口の寄附を多数集めることが重要であることがわかます。そのためには、単に130周年だからというのではなく、寄附が何に使われるか明確にすることもきわめて重要です。私たちは、今後もこうしたアメリカの大学の実態を調査報告していく予定です。






